ともかく医者を呼ぶことだ

 赤酒になにか曰《いわ》くがあったのだろうが、そんな詮策はどうでもいい。さしあたっての急務は、なんとかして大池の命をつなぎとめることだ。さもないと、えらい羽目になる。こういう状況では、どんな嫌疑をかけられても、釈明する余地はないわけだから。 ともかく医者を呼ぶことだ。煙突から炎をだせば、石倉がやっ...

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大池は素直にうなずいた

「大池さん、十一時よ……あと七時間……いままで保《も》った心臓なら、明日の朝まで保つでしょう。しゃべるのはそれくらいにして、すこし眠ったらどう」 胸にたまっていたものを吐きだしたので、気持が楽になったのか、大池は素直にうなずいた。「眠れるかどうか、やってみる……赤酒をください。三十CCぐらい……...

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こんどの破産詐欺

「そんな女なんだ……こんどの破産詐欺も隠し資産も、みんなあの女が手がけたことだ……琴子の場合はこうだった。琴子は胸の悪いところへ妊娠して、不眠で苦しんでいた。そのとき女子薬専を中退したばかりの君代が、派出看護婦で来ていた。琴子は君代に催眠剤をくれというが、やらない。そこが読みの深いところで、気の弱い...

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