加藤捜査一課

「妙な話だな……どういうことなんだい」「星明りで、はっきりとアヤは見えなかったが、どこかやられたらしくて、フラフラになっていました……ガレージの横手からまわりこんで、勝手口からロッジへ入りました」「女はどうした?」「お見込みどおりでした。時間の打合せがあったのだとみえまして、女のほうが先に二階から降りて、ホールで待っていました」「おかしいね、それを、どこから見たんだ」「玄関の脇窓から」 加藤捜査一課は背筋を立てると、頭ごなしにやりつけた。「絶対にロッジの近くへ寄りつくなといったろう?……まずいことをするじゃないか。感づかれると、やりにくくなって困るんだ」「いや、どうも……立っていたところに、偶然に窓があったもんですから」「感づかれたらしいようすはなかったか」「大丈夫だろうと思います」「君が大丈夫というなち、大丈夫だろう……つづけたまえ」「……女は大池を長椅子に寝かせると、洗面器に水を汲んできて大池の胸を冷やしていました。薬だの酒瓶だの、いろいろと持ちだして来て、熱心にやっていたふうです……私の見たのはそれだけ」「それだけ、というのは?」「女が窓のカーテンをひいたので、私のいる位置から、なにも見えなくなったということです」 加藤捜査一課は刺激的な冷笑をうかべながら、「大池とあの女がロッジで落合えば、どんなことをするぐらいのことは、ここにいたって想像がつく」 と、しゃくるようなことをいった。

— posted by id at 10:47 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.2453 sec.

http://submarinesystems.co.uk/